空飛ぶ猫☆魂 #3『I LOVE LIFE』@下北沢 小劇場B1
2014年10月12日(日)19:30開演
はじめての劇場でした。
行ったことがあると思っていたのですが、他の劇場と記憶が混ざっていたようです。
今回は開演前のスタッフさんの対応が凄く素敵でした。
荷物も先に声かけしてくださいましたし(いつも、遠征大荷物で、自分から預かって欲しい言うのわりと申し訳ない感がですね……)
受付前も、チケット代を手元に用意してくださると助かります的なアナウンスをされていたのも、わりと珍しい気がして、気遣いをされているんだなと思いました。
劇場入ったら、思ってた以上に小さかったです。
人数的にはそこまで少ないとかでなく、むしろ多めな気がしたのですが、きゅうきゅうでしたね。
私はちびっこなのでわりと平気だったのですが、身長ある人だとしんどかったりするかもな気もしました。
ということで、感想です。
オムニバス、とのことだったのですが、完全に別れた話ではなく、全てが繋がっているお話でした。
同じ時間軸の中で、だんだんと視点を変えていく感じ。
いろんな人が、思いが、交差して、重なって行く、そんな舞台でした。
以下、パンフレット記載文を引用しつつの感想です。
私はパンフレットは観劇前には見なかったのですが、読んでから観てもよかったかもしれません。
第一話『季節外れの軌跡』
未来を予知してしまう男。でも、望むことを予知できるわけではない。予知できるのはどうでもいいことばかり。
皮膚の病気を発病し、紫外線を避けて生きている男。生きる意味や、自分の役割を模索している。
『モノローグ』とか『長台詞』とか、そんな演劇のご都合、のような表現の描き方が凄く好きでした。
ああ、舞台だな。ああ、演劇だな。って思いました。
演劇的な、演劇でしか、見れないものだと思います。
1話の時点では、はっきりとした区切りがあるかと思っていたのですが、1話は本当にはじまりという感じでした。
見えてしまった、見たくなかった未来。
それが変わることがあるなら、奇跡。
奇跡が起これば、奇跡が起こるかもしれない。
そういうお話だったんだと思います。
『生きる意味』を探している弟に、
兄は
「特別なことなんてなくたって、悩まなくていいんだよ」
そう言います。
その言葉そのものは、凄く優しい言葉だと思います。
でも、その兄は結局、弟を『生きる意味』にしてしまっている。
多分、そうやって、自分を『特別』にしようとしてしまっている。
特別でないことを悩む辛さよりも、
特別でないことを悩んでしまうことを悩んでしまう辛さの方がきつい気がします。
私はこの第1話で
『悩んだっていいんだ』という風に感じれた気がします。
特別じゃないって、満足できないでいるのは、当たり前なんだよって言ってもらえた気がしました。
パチンコの当たり台、万馬券、
お金に困っていた男にそれが見える。
でも、そうやって得たお金をひったくられる……が、それは無事に手元に戻る。
このひったくりのシーンが少し唐突だった気もしたのですが、このシーンが2話と3話へのバトンのようなシーンでした。
2話と3話にも同じシーンが出ます。
でも、視点が変わるので、見え方が違う。
同じものを見ているのに(勿論、生のお芝居なので完全に同じと言うわけにはいきませんが)いろんなことが見えてきた上で見ると、見え方が違う。
今回の舞台はそれが凄く気持ちが良かったです。
1話の奇跡は、桜が見えたのだろうなと思いました。
そして、2話に繋がり、全体に途切れなく進むのがわかった感じでした。
第二話『正義のダークヒーロー』
滑舌が悪いスーツアクター
空気が読めない新聞記者
第1話のひったくりのシーンで、ひったくりを捕まえた男が2話のスーツアクターでした。
そのひったくりを捕まえたことで新聞記者から取材を受けることから始まるお話。
アバレッドをやっていた西君がスーツアクターを追いかける、追い詰める、というのが凄く印象的だった気がします。
というか、公演ごとに西君の扱いがイケメン枠的なものから離れている気がしていたのですが、今回は凄く色々な顔のある役だったと思います。(昨年の夏の丸ごと真っ直ぐバカな感じも凄い好きでしたが)
『これじゃインパクトが足りないんだよ』
『面白いドラマを作らなきゃ』
この取材を終えた後の本音が漏れるような感じの嫌な感じが、凄く好きです。
人の汚い部分を見せつける感じがゾクゾクする。
スーツアクターを尾行する新聞記者。
そして、スーツアクターがひったくりの現場にいた理由を知る。
別れた彼女への未練が断ち切れなくて、ストーカーになってしまっていたスーツアクター。
ひったくりの現場は、彼女の家の近く。
それを知った新聞記者はそのことを記事にしようとする。
スクープを取らないと、会社をクビになってしまうから。
彼女に、やり直したいと伝えると言うスーツアクター。
そうすれば、ストーカーではなくなる。
でも、思いがもう通じないのはわかってる。
奇跡は起こらない。
それでも、伝えたい。
2話のラストも1話のラストと同じでした。
秋の夜空に舞う奇跡。
新聞記者はそう言って、カメラのシャッターを切る。
でも、秋に桜が咲いたら奇跡だとは思いますが、そこまでは……みたいにも感じました。
そして、3話に続きます。
第三話『踏んだり蹴ったり』
花火職人の話。
実際、今年は花火大会の中止が多かったので、凄くリアルな気がしました。
『世界で1番雨が嫌いなんだ』
西永さんの作品の中で、雨は凄く綺麗に表現されることが多いので(神様からのプレゼント、とか)
世界で一番嫌い、から、どう持って行くのかな……という風に感じました。
3話の花火職人が、ひったくりの犯人でした。
花火大会の中止が続いて、借金にまみれて、どうしようもない。
そんな中、万馬券を手にした男を真横に見てしまう。
見習いの男が凄く可愛らしかったです。
可愛らしくないのに、可愛らしく見えてしまうのが凄く可愛らしい!!!
花火職人の元に、1話の兄がやってきます。
万馬券であてたお金で花火を今夜、あげて欲しいと。
外は雨。台風が直撃している。やむはずがない。
でも、兄は雨がやむ未来を見ている。見た未来は当たる。
弟が死んでしまうと言う未来も当たる。
だから、花火をあげて欲しい。
ここで、桜が咲いただけでなく、花火もあげたのだとわかります。
でも、台風の雨がそんないきなり止まるわけがない。
……私事ですが、観劇時にリアル台風で翌日の観劇を諦めようとしていたのに、本当にやむなら奇跡すぎるよねとか思ってしまいました。
そして、4話に続きます。
第四話『神の暴走』
天気を操れる男。カミサマと呼ばれている男。
カミサマに振り回されている側近。でも、幼馴染。
カミサマの話、でした。
流れてくる感想ツイート等でカミサマカミサマというワードが出ていたので、これか!!!という感じでした。
カミサマと言っても、操れるのは天気だけ。多額の報酬で縛られて、監視されている存在。彼女も出来ない。
花火職人の嫌いな雨を降らせていた、ある意味、犯人ですね。
オーダーどおりの天気にしろと言われているのに、従わない。
それに振り回されている側近。でも、幼馴染。
ある日、総理大臣が屋形船で接待をするので絶対に雨を降らすなというオーダーが出る。
でも、カミサマはそれに反発して、巨大台風を作ってしまう。
カミサマを殺せば、台風も消える。
だから、総理大臣が殺し屋を連れて現われる……というのがゲストシーンでした。
私が観劇した回は男〆天魚の平野さんと長戸さんでした。
空飛ぶ猫☆魂のゲストシーンは凄く楽しいです。
本当、他の回も観たいです。
記録用でいいから、ゲストシーンを何かしらで観たいです。
まあ、観たければ劇場に!!!…がゲストシーンなんだとは思うのですが!!!!
ゲストシーンにどこまで台本に指定が入っているのかが気になります。
毎回、私には本気で好き放題やってるように見えるのですが、どうなんでしょう……。
ゲストシーンから、全てが繋がっていく感じでした。
雨がやむのはカミサマが雨を止めるから。
でも、カミサマがとめても雨はやまない。
花火職人はやっぱりやまない。やむはずがないんだ!!と叫ぶ。
カミサマは必死に雨をやまそうとする。
結果、兄が見た未来とは5分遅れで雨がやむ。
秋の夜空に桜が咲いて、花火があがる。
奇跡が起こって、奇跡が起こる。
新聞記者はそれを記事にする。
その記事が評判になり、花火職人には仕事が出来る。
兄は花火職人の元で働くことになる。
奇跡はおこった。
5分遅れで。
奇跡は起こったけれど、兄が見た未来とは違う。
未来は変わるかもしれない。
そんな奇跡も、起こるかもしれない。
そんな『雨のち、奇跡』の話でした。
いっぱい、頭から漏れてしまっているものがあると思います。
リアル台風の心配等が頭をよぎってしまい、集中しきれなかったような感じもありました。
それでも、凄く凄く、素敵な話でした。
観れて、本当に良かったです。
私事ですが、夕方の時点で翌日の地元電車が16時には止まると言う告知が出ており、千秋楽のチケットも申し込んでいたのですが、予定前倒しで帰ることになりました。
もしかしたら、もしかしたら、大丈夫だったかもしれない。
どうしても、そういう後悔は感じてしまいます。
でも、公演そのものに影響がなくて、本当によかったと思います。
今回の観劇上京も、私の人生の一部になるわけです。
本当に本当に千秋楽が観れなかったのは残念なのですが!!!!!
それでも、その分、一生懸命観よう、みたいな感じはいつもより強かったです。
最前列でメモリながら観劇しました。しかし、ぐちゃぐちゃすぎて、感想を書くにはあまり役にたたなかったのですが。
今回の舞台を観て、自分の人生を、ちょぴっとだけ好きになれた気がします。
それも、ちっちゃな『奇跡』なのだと思います。
本当に文章力が全然なくて、何も通じないであろう感じがもどかしいのですが、
動けば、奇跡は起こせるかもしれないので。
大好きな作品、大好きな劇団さんです。
だから、欠片だけでも誰かに伝えられて、その人が劇場に行ってくれたらいいなと思います。
そんな、ちっちゃな奇跡を起こしたいのです。